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2015/12/17
国際がん研究機関(IARC)が赤身肉と加工肉の発がん性について報告したことに関する情報収集のまとめ

はじめに

国際がん研究機関(IARC)は2015年10月26日付で、次のタイトルのプレスリリースをしました。

"IARC Monographs evaluate consumption of red meat and processed meat" (「IARCのモノグラフ(論文)は赤身肉と加工肉の摂取について評価した」(仮訳))

このプレスリリースは、赤身肉と加工肉の発がん性について、簡素かつ率直(過ぎるくらい)に、評価結果を伝えています。

赤身肉(red meat)は「ヒトに対しておそらく発がん性がある(グループ2A)」。加工肉は「ヒトに対して発がん性がある(グループ1)」。

IARCのこの評価結果は、「わたしたちが普段食べている食品に発がん性があることを国際機関が認めた」というある種のショックを人々に与えました。 そして、IARCのプレスリリースは、社会の様々な情報発信の主体(政府やジャーナリスト)の執筆欲をかき立てるには、十分すぎる素材でした。

IARCがプレスリリースをした後、約1ヶ月にわたりほぼ間断なく、IARCのプレスリリースに関する記事を誰かが書いては情報発信をしているのが見受けられました。 テーマが絞られた食品安全関係の記事としては、この1年を振り返ってみて、他に例がないほど記事の数は多かったように思います。(強いて比肩する例を挙げるなら、TPP協定に反対する論者が、「TPPによって食の安全が脅かされる」という、内容不明瞭な決め台詞をよく使っていたぐらいかなと思います。) 記事の数は多かったですが、中には単に悪乗りをしているとしか思えないような記事もあり、記事の質は玉石混交でした。

2015年12月に入ると、このテーマで目新しい記事は出てこなくなりました。 話題としてはほぼ出揃ったのかな、とわたしは解釈しています。

そこで、わたしが情報収集して適宜その情報を分析してきたものを選び出し、当Articleに収載することにしました。

以下、目次です。順番のとおりに読んでいただければ、概論から次第に各論になっていくので、読みやすいかと思います。

目次

■ 食品安全委員会の考え方(2015/11/30公表)について

■ 農林水産省の消費者向け情報提供(2015/12/01更新)について

■ IARCが公表したQ&A(2015/10/26公表)について

■ 科学的根拠に基づく食情報を提供する消費者団体FOOCOM.NETの記事(松永 和紀. 2015/10/26公表)について

■ 何が発がんに寄与するのかについて 雑誌記事1(窪田順生. 2015/11/18公表. ダイヤモンドオンライン)

■ 何が発がんに寄与するのかについて 雑誌記事2(渡辺雄二. 2015/11/30公表. Business Journal)


■ 食品安全委員会の考え方(2015/11/30発表)について

レッドミートと加工肉に関するIARCの発表についての食品安全委員会の考え方
[食品安全委員会ウェブサイト]

食品安全委員会は、IARCの報告について、食品安全委員会はどう考えているのかを、詳細に情報提供しています。

これまで、様々な識者やジャーナリストが見解を示した記事を書いているのを見かけましたが、現時点で、日本語で読める記事の中ではもっとも詳しく、そして信頼性の高い記事です。

細かい気付きの点ですが、この記事の発表日である11月30日は、NHKのクローズアップ現代が、IARCの件も含め、食品の安全に関する情報をどうとらえたらいいのかについて特集を組み放送した日と一致しています。相乗効果を狙ったのかもしれないですね。

私の理解では、IARCが公表しているQ&Aと、食品安全委員会が公表しているこの記事を読めば、後の記事は読まなくても十分な知識を得ることができます。どんな記事よりも、まずは公的機関が発出している記事を参照するように心がければ、氾濫する情報に惑わされず、状況を的確に把握できるようになるというのが、私の自説です。

ただ、詳しいだけあって、ちょっと一般消費者の方が読むには難解で敷居が高いような印象を与えてしまっているような気もします。屋上屋を重ねるようなものかもしれませんが、私なりにポイントを整理して、(けっこう)アレンジすると、食品安全委員会の考え方は次のとおりです。

1 IARCが発表した評価って、結局のところ何を意味しているの?健康への影響の大きさを意味しているの?

いいえ。IARCが発表した評価は、健康への影響の大きさを意味しているわけではありません。ある物質に、発がん性があるかないかの「科学的根拠」の強さを意味しています。

・・・といってもあまりイメージがわかないと思いますので、宝くじを例にとります。「今回の宝くじには、ナント10億円の当選がある」というまことしやかな情報が流れていたとします。

IARCの評価を宝くじのたとえ話で表現すると、IARCは「今回の宝くじには、ナント10億円の当選がある」という情報は確からしいよと報告したようなものです。

だからといって、その情報が自分が宝くじを買ったところで10億円が当たることを意味しないのは、夏や年末に宝くじ売り場で並んだことのあるほとんどの人が辛酸をなめてながら理解してきたことだと思います。

それと同じことで、IARCが「加工肉や赤身肉には発がん性があるらしいよ」と報告したところで、その報告は、加工肉や赤身肉を食べている私たちに、がんが「当たる」ことを意味しないのです。

2 今回のIARCの評価って異例なことなの?

はい。IARCはふつう、単一の物質に発がん性があるかどうかを調べています。でも、今回は違いました。加工肉や赤身肉には複数の物質が含まれています。IARCが、複数の物質が含まれているものについて、発がん性があるかどうかを調べるのは異例です。

なので、今回のIARCの評価結果の解釈には注意が必要です。特に、加工肉や赤身肉に含まれるどんな成分によって、がんが発症するのかはわからないので、「あれが悪い、これが悪い」と決めつけるのはやめたほうがいいでしょう。

3 がんになるのは嫌です。お肉は食べないほうがいいのですか。

まったく食べないというのは栄養バランスを崩すおそれがあるので、おススメできません。

年末年始にはお酒の席にたくさん出席することがあると思いますが、お酒を飲みすぎて救急車で搬送されるという事件がしばしば起こるのをよく見聞きすると思います。それにもかかわらず、皆さんお酒をたしなまれます。それは、お酒は適量であれば問題ないと感じられているからだと思います。

これと同じことで、どんな食品でも摂りすぎは体によくありません。なので、お肉を食べ過ぎたら、たしかに健康を損ねるおそれが大きくと考えられますが、適量を食べるのでしたら問題ありません。おいしく召し上がってください。

4 今後、私たち消費者はどんなことに気を付けたらいいですか。

これまでどおり、食べ過ぎず、飲み過ぎず、そこそこ食べたと思えるくらいの量の野菜を用意して、食卓にいろんな食材が並んでいることを楽しむなどして、栄養バランスのよい食生活を営むように心がけてください。

■ 農林水産省の消費者向け情報提供(2015/12/01更新)について

国際がん研究機関(IARC)による加工肉及びレッドミートの発がん性分類評価について(2015年10月26日)
[農林水産省ウェブサイト]

農林水産省は、IARCの報告や関連する情報を整理して、消費者向けに情報提供しています。(ちなみに、初出は2015年11月中旬くらいだったと記憶しています。)

「消費者の皆様がこのページを、各種の報道の中で正しい情報を選択する際に役立ていただけると幸いです。」とウェブサイトに記載していることから、農林水産省の姿勢がうかがえます。 消費者にわかりやすく伝えようとしていて、たしかに、食品安全委員会より読みやすいです。食品安全委員会のウェブサイトの専門用語に辟易された方は、農林水産省のウェブサイトから読んだ方がよいかもしれません。

内容の要点は、食品安全委員会と同じです。ざっくり書くとこんな感じです。

1 IARCの発がん性分類は、発がんの証拠の強さを意味するのであって、リスクの高さを意味しない。
2 日本人の平均的な摂取量であれば、赤身肉や加工肉による発がんリスクは低い。
3 暴食偏食はやめて、バランスの良い食生活を心がけることが大切。

■ IARCが公表したQ&A(2015/10/26公表)について

Q&A on the carcinogenicity of the consumption of red meat and processed meat
[IARCウェブサイト]

IARCは、赤身肉と加工肉の発がん性の評価結果についてプレスリリースしたのとあわせて、評価結果に関するQ&Aを公表しました。

評価結果に関して、多くの有識者が様々な見解を示していますが、IARCが何を考えているのかを知るには、このQ&Aが世界で最も参考になります。 英語を読むことが苦にならない方は、このQ&Aを読むと勉強になるでしょう。また、本件について記事を書きたいジャーナリストであれば、このQ&Aを読むことは必須だと思います。

IARCのQ&Aでも強調したい素振りが伺えますが、まず、わたしたち一般消費者が冷静に受け止めないといけないのは、IARCの発がん性の評価は、発がんのリスクが高いか低いかという評価ではなく、発がんの科学的な証拠の強度が高いか低いかという評価だということです。

厳密な意味でのIARCの仕事は、ある物質に発がん性が「ある/ない」ということを証拠立てることです。ある物質に発がん性が「ある」場合に、わたしたちの発がん率にどれぐらい影響するのかという、わたしたちが実際に懸念することを評価するのは、リスク評価機関の仕事です。(国際機関の例でいえばJECFA、国内機関の例でいえば食品安全委員会です。)

このような視点をもってIARCのプレスリリースを眺めると、今回IARCは饒舌になりすぎているように、私には見えます。「加工肉を日常的に50 g摂取し続けると、大腸がんになるリスクが18%あがる。」という表現は、リスク評価機関にゆだねるのが、筋のハズです。私の見立てでは、IARCとして出せる声明は、「加工肉はグループ1(ヒトに対して発がん性がある。)、赤身肉はグループ2A(ヒトに対しておそらく発がん性がある。)に分類した。」に限られます。

それゆえ、今回、IARCの饒舌さに対して、主に食肉関係の関係者が「ケシカラン」と敏感に反応したのは、ごく自然なことのように思えます。

実際のところ、IARCが認めるとおり、加工肉や赤身肉の何が発がんに関与するのかは、不明です。加工肉について、多環芳香族炭化水素、ヘテロサイクリックアミン、ニトロソ化合物等、発がんに関与しそうな化合物が例示されているものの、食品安全学の常識的な理解では、これらのハザードが「加工肉を日常的に50 g摂取し続けると、大腸がんになるリスクが18%あがる」ような大きさのリスクになるとは、けっして見なさないでしょう。

今回のIARCの評価結果を見て、私が懸念しているのは、加工肉や赤身肉をどんなシーンでよく食べるのかを考慮したのかということです。わたしたちは、加工肉や赤身肉を、アルコール飲料を嗜みながら食べることが多いはずです。(ソーセージとビールは最高の組み合わせ。ビーフステーキと赤ワインは瀟洒な組み合わせ。)IARCはアルコールをグループ1(ヒトに対して発がん性がある)に分類しているので、アルコールという交絡因子を調整した上での結果なのか、食品科学の観点からは非常に気になるところです。

■ 科学的根拠に基づく食情報を提供する消費者団体FOOCOM.NETの記事(松永 和紀. 2015/10/26公表)について

IARCがレッドミート及び加工肉のがんリスクを発表…不安になる前にJPHCスタディを見よう
[FOOCOM.NETウェブサイト]

科学的根拠に基づく食情報を提供する消費者団体FOOCOM.NETは、IARCのプレスリリースに敏感に反応して、摂取量が重要であることを、冷静な筆致で消費者に伝えています。

驚くべきは、記事の公表の早さです。FOOCOM.NETは、IARCが2015年10月26日にプレスリリースした翌日(2015年10月27日)に、この記事を公表しました。 (ちなみに食品安全委員会も、Facebook上ではありますが、同日(2015年10月27日)に見解を示したので、行政機関の反応としてはかなり早かったと付言しておきます。)

さらに、この記事は、消費者の不安をかき立てるのではなく、消費者に冷静さを求めており、この事案の要点を的確に押さえた情報提供をしています。 要点は、食品安全委員会や農林水産省といった行政機関の情報提供と同様なので、行政機関の情報提供がわかりにくかったという方は、この記事を一読されてはいかがでしょうか。

ちなみにFOOCOM.NETは、業界的には、科学力が高い消費者団体であり、信頼性の高い記事を執筆しているという定評があります。 それゆえ、食品安全に関して気になることがあるけど、行政機関の文書はわかりにくいという方は、安直に雑誌の記事に飛びつくより前に、FOOCOM.NETで記事を探してみることを私はおススメします。

■ 何が発がんに寄与するのかについて 雑誌記事1(窪田順生. 2015/11/18公表. DIAMOND online)

ハム業界の逆襲でうやむやに…加工肉発がん性問題の真相
[DIAMOND onlineウェブサイト]

リンク先の記事は、何が発がんに寄与するのかについて言及した、典型的な記事の一つです。 本記事は、IARCのプレスリリース後の加工肉業界の広報戦略と、加工肉に使用される食品添加物である亜硝酸ナトリウムの発がん性について言及しています。

本記事は、IARCのプレスリリース後の加工肉業界の広報戦略について、次のような分析をしています。

「添加物の安全性には触れず「肉は安全」と論点をすり替えた。」

観点としては面白いと思いますが、私の理解では、加工肉に使われる「添加物」の健康リスクが、公衆衛生の観点から懸念があるレベルでないと、この分析は、空を殴っているようなものだと考えます。

実際のところ、加工肉に使われる「添加物(亜硝酸ナトリウム)」の健康リスクが、IARCが饒舌にもコメントした「加工肉50 gを日常的に摂取すると、大腸がんのリスクが18%あがる。」ようなものだとは、食品安全学の常識的な観点からは、みなさないでしょう。

なので、わたしの理解では、加工肉業界はIARCのプレスリリースに対して、次のような(ごくあたりまえの)主張をしているだけに見えます。

「日本国内の実態としては、加工肉の摂取と発がんリスクの上昇が関連付けられた科学的な証拠はない。今後とも、製品の安全を確保しながら、皆様の食卓に彩りと栄養をそえてまいりたい。」

本記事は、加工肉中の化学物質に着目したという限りにおいては、よい記事です。ただ、IARCが言及したい化学物質が、亜硝酸ナトリウムと決めつけるのは、ジャーナリズムとして明らかなミスリードです。

IARCは、加工肉中には、多感芳香族炭化水素、ヘテロサイクリックアミン、ニトロソ化合物など、発がんに関連する化学物質が存在しているとしつつも、実際のところ何が原因なのかは、証拠が不十分でわからなかったとして、具体的な言明を避けています。

ジャーナリストなのだから、もうすこし、冷静に情報収集をしたほうが、信頼性のある記事を書くために大切と私は思います。

* * *

せっかくなので、加工肉に含まれる亜硝酸(亜硝酸ナトリウムが電離してできる陰イオン:NO2-)の摂取について、簡単なリスク評価をしてみます。

国際的なリスク評価機関であるJECFAは、ラットを用いた動物試験(90日間)から、亜硝酸の無影響量(NOEL)を5.4 mg/kg bw/dayと報告しています。なお、亜硝酸自体には発がん性は認められなったとしています。
http://apps.who.int/iris/bitstream/10665/37246/1/WHO_TRS_859.pdf

食品衛生法は、食肉製品で用いられる亜硝酸の残存量の基準値を70 ppm(mg/kg)に設定しており、この基準値以下になるように亜硝酸ナトリウム等を使うことを、食品等事業者に定めています。 (なお、食品メーカーによっては、食品衛生法上の基準値よりも厳しい自主基準値を設けているところもあります。)

実際のところ、例えば、ポークソーセージの亜硝酸濃度は、0.5 ppm(mg/kg)程度という報告があるように、食肉製品中に残存する亜硝酸の濃度は、食品衛生法上の基準値よりも低いです。
http://www.nihs.go.jp/dfa/food-db/9shosanashosan-kakou.pdf

ここで、体重60 kgの成人が、0.5 mg/kgの亜硝酸を含むポークソーセージを、毎日50 g摂取する場合を考えると、0.00042 mg/kg bw/dayの亜硝酸を摂取していることになります。これは、およそ13,000倍しないと無影響量(NOEL)にすら届かないような微量な摂取量です。

それゆえ、簡単なリスク評価ではありますが、食肉製品に使用される亜硝酸ナトリウム等の添加物が、健康リスク上懸念があるとは、考えにくいです。

■ 何が発がんに寄与するのかについて 雑誌記事2(渡辺雄二. 2015/11/30公表. Business Journal)

ハム・ベーコン・ソーセージは絶対NG!猛毒の化学物質含有、強い発がん性のおそれも
[Business Journalウェブサイト]

Business Journalが掲載する食品安全関係の記事は、時折、ジャーナリズムとしての誠実性に疑問を感じさせるものを含みます。 若干モグラたたきのようになってしまいますが、食品科学者としては看過できないので、悪い例として、読者の皆様に共有します。 たぶん、ここまで読み進めていただいた方は、一瞥するだけで、この記事は変な記事だという印象を受けるのではないかと思います。

本記事は、例によって、IARCが加工肉と赤身肉の発がん性について報告したことを受けて、執筆されています。著者は「買ってはいけない」シリーズで良くも悪くも有名な、科学ジャーナリストです。

まず、IARCの報告(Q&Aを含む)をおさらいします。IARCは、加工肉や赤身肉を食べることとがんの発症には疫学的な関連性が見られたものの、加工肉や赤身肉中に含まれるどのような成分が発がんに寄与するのかは、証拠が不足だとして明言していません。

しかし、本記事は、加工肉については、加工肉に添加物として使われる亜硝酸ナトリウムが体内で変化してできたか、加工肉にもともと含まれていたニトロソアミン類によって、がんが発症しやすくなると考えられるとしています。このことと、IARCが加工肉に発がん性があるとしたことを、「そして」という順接の接続詞で結びつけています。

繰り返しますが、IARCは、加工肉中に含まれるどのような成分が発がんに寄与するのかは、証拠が不足だとして明言していません。ジャーナリズムとしてはミスリードです。

さらに上載のとおり、加工肉に含まれる亜硝酸の摂取について、簡単なリスク評価をわたしは試みました。内容を繰り返しますが、次のとおり、加工肉中の亜硝酸が健康に悪影響を及ぼすとは想定しがたいです。

「体重60 kgの成人が、0.5 mg/kgの亜硝酸を含むポークソーセージを、毎日50 g摂取する場合を考えると、0.00042 mg/kg bw/dayの亜硝酸を摂取していることになります。これは、およそ13,000倍しないと無影響量(NOEL)にすら届かないような微量な摂取量」

また、本記事は、赤身肉の発がん性については、加工肉の時と比較すると、やや歯切れ悪く、動物性のたんぱく質や脂肪が、腸内細菌(いわゆる悪玉といわれているもの)によって代謝されてできた、硫化水素やインドールなどの有害物質によると考えられるとしています

繰り返す必要はないかもしれませんが、IARCは赤身肉中に含まれるどのような成分が発がんに寄与するのかは、証拠が不足だとして明言していません。それゆえ、硫化水素やインドールというのは、本記事の著者の予断です。

さらに(悪いことに)、著者はこの予断に基づいて、悪玉といわれる腸内細菌が悪いのだから、善玉菌が増やせば、リスクを低減できるとしています。

このような見解は、わたしの科学的な感覚からすると、予断と想像の合成物です。IARCが報告して1ヶ月もたっているのだし、自らも科学ジャーナリストと謳っているのだから、もう少し科学的に証拠固めをしたうえで、記事を書いた方がよいと思います。


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